キューバ(ハバナ)

キューバは中南米の中でもとりわけユニークな印象。キューバが社会主義国家というのが大きな理由でしょうか。

よく聞く話だけれど、キューバではモノが足りてない。スーパーに行くと棚にものがない。昨日は水が買えたお店でも、翌日行けばなかったりする。
電気もない。従来原油の供給を受けてきたベネズエラの不況により原油輸入が減少。そのため停電がしばしば起こる。私が滞在したホテルもたまに電気が消えたりした。すぐ回復するので問題はない。停電も数回起こると慣れてしまう。キューバで鈍感力は大事なスキル。
Wi-Fiもない。いや、あるけれど、無料ではなく、インターネットカードを購入しないといけない。一部ホテルでもインターネットカードを買えるけれど、割高。街中のショップで買おうとすると混んでいて行列に並ばないといけない。
ちなみに水まわりについて書くと、私が宿泊したホテルではシャワーは問題なく使えた。私は水まわりがちゃんとしていれば、電気やインターネットは不安定でもそこそこ我慢できるので、上記のようにないない尽くしでもそこまで不満ではない。

時間のゆっくりさも中南米トップレベル。例えば、レストランに行くと、注文した料理が出てくるのに時間がかかり、取り分けのお皿を持ってきてもらうのも時間がかかり、お会計でも時間がかかる。日本だと5分で来るものも、キューバでは20〜30分待つこともしばしば。みんなのんびりしている。

きちんとしていて時間に正確な日本人がこれを聞くとキューバに行きたくなくなってしまうかもしれないけれど、キューバの人々は陽気で明るくおおらかという良い面もある。何度かキューバ人の優しさに触れたりもした。

例えば。
キューバは二重通貨制度で、現地の人が使う通貨はCUP(ペソクバーノ)、外国人が使う通貨はCUC(通称クック。ドルに固定されており1USD=1CUC)と分かれている。1CUC=24CUPで両替も可能。観光客はCUCを使うのでCUPの必要性はめったにない。一度だけCUPが必要になったのは、旧市街の対岸にあるカバーニャ要塞に行った時。海底トンネルを通って車で行くこともできるけれど、ホテルの目の前からフェリーが出ていて、それを利用するとかなり近道。しかもお値段は1CUP(≒4円と超絶お安い)。けれど、フェリーは住民の足であり、CUPでしか払えない。両替所を探せばCUPを入手できるけれど、探すのが大変…。宿泊しているホテルでCUC→CUPの両替をしてもらえるか聞いたら、「両替はしていないけれど…」と、ホテルの方がご自身の5CUPをくれた(!)。しかも何分ごとにフェリーが出ているか聞いたら、フェリー乗り場まで走って聞きに行ってくれた。…なんと。
5CUP≒20円と日本人からすると大きな金額には聞こえないけれど、平均月収29USDの国であることを考えると彼らにとっては貴重な金額。彼らの分け与える気持ちとか助けてくれようとする気持ちが強いからか、私のキューバのサービスに対する期待値がもとより低いからか、とにかくありがたい話だった。

そう言えば…。一旦持ち上げておいてなんだけれど、レストランの食事は大きな期待はしない方がよい。
食材も限られているためか、人々が大ざっぱ(おおらか)なためか、日本人の繊細な舌を満足させるのは難しい。各国の要人が来たことがあるというレストランでポモドーロソースのタリアテッレパスタを食べたけれど、ちょっと単調な味に感じてしまった。
ただ、現地の方は物資不足で食べるものにも困ってしまうこともあることを考えると、食事ができるだけでも幸せなんだろうな。


幸せって…

ハバナは観光客は多く街並はカラフルで賑やか。

クラシックカーに乗った観光客もいて華やいだ雰囲気。クラシックカー好きにとっては、街中を現役ばりばりでクラシックカーが走っているキューバは聖地とも言える場所。

ちなみに、このクラシックカーは1959年のキューバ革命以前、アメリカによる実質支配時代に資本と共にやったきたアメリカ製。キューバ革命およびアメリカとの国交断絶以降は、アメリカから工業製品が入ってこない。また、キューバ政府も新車の販売を2011年まで禁止していたため、中古車しか出回らなかったという背景がある。

華やかな観光客と比較すると、現地の生活の貧しさが街中のあちらこちらで見えてくる。こういう環境にいると、社会主義って、そして幸せって何だろうとついつい考えてしまう。社会主義はそもそも利益の配分を均等にして平等で調和の取れた社会を目指すもの。ただ、いくら働いても賃金が変わらないとするとサボりたくなるのが人情(もちろん一生懸命働くキューバ人もいます)。それではやはり経済は成長は難しい。でもでも、経済的には貧しいけれど、キューバの人は幸せだとよく聞く。たとえモノは不足していても、友だちや家族と歌って踊って過ごせれば幸せなんだと。

キューバ人がそう感じているにしても、成長とか進歩とかがないと、その幸せで本当によいの?ってちょっと疑問が浮かんだりする。

では、日本はどうかと。キューバに比べて経済は格段に発展していて、モノは豊か。けれど、日本人はみんな幸せかと聞かれると…。どうだろう…。

日本はこんなに何でもあって平和な国だけれど、何となくみんな将来が不安だったり、仕事のプレッシャーが過大だったり、周囲の人との人間関係に悩んでいたりする。いつも何かを求めて頑張り過ぎてしまう。また、元来働き過ぎてしまう国民性なのか、現在絶賛働き方改革中。プレミアムフライデーのような施策も登場している昨今…。

貧しいけれど幸せというキューバ。豊かだけれど幸せだと自信を持って言えない日本。…幸せって何だろうと思考の迷いにはまってしまう。

ここで、日本もキューバもちょっと離れて、「社会民主主義」とも表現される北欧の国を見てみる。北欧の国々は世界でも幸福度が高いとされている。しばしば引用される「世界幸福度報告書2017(*)」によると、1位ノルウェー、2位デンマーク、3位アイスランド、4位スイス、5位フィンランド。北欧圧勝…。
キューバは対象外なので入ってはいないけれど、結構上位にくるかもしれない。

ちなみに日本は51位…。他国と比べることは本筋ではないと思うけれどまだまだだなと感じてしまう順位。

北欧の国とは、人口の規模や構成、歴史や宗教、国土や資源、国への信頼度、国民の価値観や幸せの定義といった様々な要素が異なるので、日本がそっくりマネをしたら幸福度が上がるという簡単なものではないけれど、日本人も取り入れるべきところはたくさんある。過剰品質を求めない、とか、がむしゃらに頑張る時もあれば2〜3ヶ月休暇を取ったりメリハリがありフレキシブルな働き方をもっと思い切ってやってみるとか。
まぁ言うは易し行うは難し、ですよね。でも機運が盛り上がっている今こそ進めばよいなと思う。

何が言いたいんだと問われると、「いや、幸せってなんだろうって考え出して迷走していただけです…」ということでだらだらと書いてしまいました。


ツーリスト・カード

キューバへ30日以内の観光目的の滞在であればビザは不要だけれど、「ツーリスト・カード」というものが必要。在キューバ日本国大使館のHPによると、「キューバに乗り入れている航空会社のカウンターで購入することもできるけれど、在庫切れのこともあるようで事前入手がベター」とのこと。出発前に調べてみても、ツーリスト・カードの近隣諸国での調達可否についてはグレーなままだったので、危険は冒さない質の私は事前入手しておくことに。

そんなわけで、ツーリスト・カードの日本での入手方法について記載。

と言っても麻布にあるキューバ共和国大使館領事部へ行くだけ。こじんまりした建物で、開いているのは9時半から12時まで。

パスポート、パスポートのコピー、顔写真を添付した申請書(インターネットで事前にダウンロードすることもできるし、領事部にも申請書が置いてあるのでその場で記載することもできる。ただ、顔写真はダウンロード申請書だと5×5cm、領事部にある申請書だとタテ4.5cm×ヨコ3cmとなぜかサイズが異なるので注意)、往復航空券、宿泊ホテルの予約確認書、手数料2,100円(おつりはないのできっちりとした金額を持って行きましょう)を持参し、受付の女性に渡すとその場で発行してくれる。私が行った時は何人か並んでいたので1時間くらいはかかった。でも発行はすぐしてもらえる。

このキューバのツーリスト・カードについては、アメリカからの入国の場合は、日本で発行されたツーリスト・カードではダメで別途手続きが必要とか、入国時には海外旅行保険への加入(ただし、米国系保険会社は不可)義務があるとかいろいろ書かれており、私が申請した時は「往復航空券と宿泊確認書が必要になった」というお知らせが領事部の入り口に貼ってあったり、申請手続きの変更もそっと行われている模様。事前に領事部に電話をして手続き確認した方がよいかもですね。

ちなみに、私はパナマ→キューバ→メキシコという旅程。航空券やホテルは事前にインターネットで取っていたので、その確認書を持参。

また入国時については、海外旅行保険契約書の提示は特に提示を求められず…。いろいろ謎のまま。
(2017年2月にツーリスト・カード取得、2017年4月15日キューバ入国の情報です)


(*)国連と米コロンビア大学が設立した「持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)」と同大学地球研究所が発表するもの。

この報告書、どうも各種メディアの記載する内容と私が認識する調査方法がちょっと異なっている。例えば東洋経済オンラインとか、ハフィンポストとか。

東洋経済オンラインでは(元のソースはロイターでしょうか)、「155カ国を対象に、1人当たりの国内総生産(GDP)や健康寿命、困難時に信頼できる人がいるかどうか、政府や企業における汚職からの自由度などを手掛かりに幸福度を調査。」とある。

ハフィンポストでは、「調査対象にする国の国民の自由度や、1人あたりの国内総生産(GDP)、政治、社会福祉の制度などを元に2014〜2016年の「幸福度」を数値化し、ランク付けしている。」

上記例のニュースによると、幸福度を測る指標として、「1人当たりGDP」、「健康寿命」、「信頼できる人がいること」、「政府や企業の汚職がない社会」などを使用しているかのように書かれている。

しかしSDSNのレポート原本を見てみると、このランキングは世論調査で知られるギャラップ社が実施するアンケート調査「Gallup World Poll」の「Well-being(幸福度、と訳すのでしょうか)」の項目を元に作成されている。アンケートでは、対象各国の国民が現在の自分の人生について、幸せや怒りを感じることがあるか、それぞれの感情について10段階評価をするもの。満たされていれば10、満たされていなければ0と評価する。

SDSNはこのギャラップ社の回答結果を基に統計分析を実施。人々の心理的な幸福度と、GDPや健康寿命等の客観的指標がどのような相関関係があるかをまとめている。

つまり、SDSNがGDPや健康寿命をもとに勝手にランキングしたわけではなく、各国の国民に対するアンケート結果をもとにランキングして、結果をGDPや健康寿命などで説明しようと試みたもの。

これまた、だから何だと言われると、間違って捉えている方がいるかもしれないので書いておいただけ、ということです、はい。

パンときどきワイン

おいしいパンとワインについてつぶやき。 日本だけではなく、世界のいろんな国を旅して見つけたい。

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