シニフィアンシニフィエ(日本橋高島屋)
三軒茶屋にある「シニフィアンシニフィエ」さんのパン、
日本橋や玉川の高島屋でも購入できるのです。
いわゆるハード系に属するのですがガリガリ固めのハード系というより、
素材がたっぷり、もちっと系です。〇〇系という枠組みに当てはめるのは難しいかもです。
こちらのシェフの志賀さんはセンチュリーベーカリー、アルトファゴス、ユーハイム等を経て、
51歳の時に世田谷にお店をオープンさせました。
多加水、低温・長時間発酵のパンが多いです。
水分が多いと成形が難しく、複雑な形のパンにすることはできないので、志賀さんのパンは
シンプルに丸型やなまこ型が多いです。
一方で、加水が多いと、小麦に含まれるデンプンを加熱する時に水分を吸って
糊状になる「糊化」という現象がスムーズに起こり、パンの断面がツヤツヤ、ピカピカとします。
食感ももっちりしていて、お餅や和菓子のようになります。
私の好きなクロマメというパンはもはや和菓子です。
また、低温・長時間発酵は、時間や手間がかかり、そもそも大量につくることは難しいです。
志賀さんはイーストを大量に投入し、発酵に時間をかけずに作るパンではなく、
発酵食品としての伝統的なパン造りをしています。
イーストの量を抑え、長時間発酵させることで、旨みの強いパンが焼けるのです。
もちろん、お店を維持していく上で、1日24時間でパン造りを完結させることが必要で、
パン生地を寝かせておくためのお店のスペースの制限もあります。
その制限の中で志賀さんのこだわりのレシピができているのです。
そして嬉しいのは、志賀さんのパンは体にも優しい。
生産性には逆行してしまっても原材料や作り方へのこだわりには敬服です。
そんなわけで、今日もたくさんいただきます。
ワインは、アラン・パレ コート・デュ・ローヌ<ヴァルヴィニエール> 赤 2012と、
シャトー・マルメゾン 2008をチョイス。
①バゲット プラタヌ(1/2) 270円(税込み)
志賀さんのスペシャリテ、低温長時間発酵のバゲットです。
このパンはイーストが使われているのですが、長時間発酵していることで旨みがしっかりあります。
粉の香りもよくて、むはぁってなります。
細めのバゲットで、ハーフならペロリといけちゃいます。
確かに他のところで食べるバゲットより水分が多いです。気泡はそんなに大きくないです。
もちっとした食感でおいしい。
②フォルコン ブロート 大体8分の1くらい(202g) 577円 (税込み)
1/4サイズまでなら店頭にあるのですが、量り売りも可。
ライ麦65%の茶色いパン。生地には酸味があります。表面にも中にも雑穀がびっしり。
持つとずっしり重く、雑穀もたくさん食べられるし贅沢なパンです。
外側の生地はいわゆるハード系で、カリッと香ばしく、雑穀も含めて歯ごたえがあります。
中身はぼろっと崩れそうな生地で、外側の生地と歯ごたえは対照的。
③パン オ ノア(1/4) 486円(税込み)
じゃがいもを練りこんだ生地にクルミとピーカンナッツが入っている。間違いない組み合わせです。
紫がかった生地で、もちっとむちっとした食感です。クルミはたっぷり入ってます。
外側の生地はソフト。
他の具材入りパンに比べてあっさりしていて、ほっとするおいしさ。
するめみたいにうまみがあるパンです。
④グ ドートンヌ(1/4) 729円(税込み)
栗、ひまわりの種、カボチャの種、アマニ、白ごま、ピーカンナッツの入ったパン。
もちろんお値段もそれなり…ですがとてもぜいたくなパン。体が喜びそうなパンです。
生地はむぎゅっとつまっていて、栗がほくっとして、ひまわりやカボチャの種の歯ごたえもあり
楽しいパンです。外側生地はソフトめ。
⑤ノワゼット ブラン(1/4) 729円(税込み)
大麦フレークと大麦粉、ヘーゼルナッツの入ったパン。
黄土色寄りの茶色。外側の皮はこちらもソフトめ。
くんくんとかいでみると、ヘーゼルナッツがとても香る。入っているので当たり前ですが。
こちらは生地にかぼちゃが練りこんであるので、その甘みも感じられます。
もちもち詰まった生地。具材もぎっしり。生地より具材が多いです。
大麦の歯ごたえがぷちっと楽しいです。
⑥おすすめパンセット 1,080円(税込み)
日本橋高島屋では、いろんなパンがちょこちょこ入ったパンセットが販売されています。
(世田谷本店にはあるのかは分からないですが)
こちらのパンは1ポーションが大きいものもあるので、いろんなパンをちょっとずつ食べたい
私にはありがたい。しかもお値段以上のお得なパンセットです。
本日中に入っていたのは、以下5点です。(組み合わせはいろいろあります)
〇パン ペイザン
このパンは数ある志賀さんんのパンの中でも水分量が多めです。
気泡が大きいく、1/8くらいのサイズにカットされているのですが、
空洞から向こう側が透けて見えるほどのものも。
全粒粉のつぶつぶがみえて、昔懐かしいような素朴な香りに癒されます。
皮はぱりっとなのですが、粉がたくさんまぶしてあるので、食べるときは粉まみれになります。
〇パン オ ヴァン
…パンに急ぐ気持ちで写真を撮り忘れました。
水の代わりに赤ワインで小麦粉を捏ね、たっぷりのナッツとドライフルーツが入っています。
赤と茶色の中間の色の生地にでっかいマカダミアナッツの他、イチジクを始め
ドライフルーツがぎっしりのパンがそれです。
イチジクの黄色、ピスタチオの緑、クランベリーの赤のコントラストがきれい。
こんな拙い表現ですが分かっていただけるとありがたいです。
食感はパウンドケーキみたいな不思議な感じ。
上述の通りたくさんの具材が入っており、赤ワインとぴったりです。
〇キャトル ヴァン
断面中心の写真になってしまったのですが、表面にもアマニ(形はゴマとにています)がたっぷり。
これは生活習慣病を意識して作ったパンです。
アマニに含まれる栄養素により、基礎代謝が上がり、太りにくくなります。
私の天敵である便秘にもよいとか。
キャトルヴァンはフランス語で80という意味なのですが、1日にこのパンを80グラム
(スライス2枚ほど)食べれば、1日に必要なアマニが摂れるよう、粉と粉末を添加してあります。
食感はさくっという感じで、思ったより軽め。外側も固め生地ではありません。
〇パン ド フリュイルージュ
見た目も名前も果実ー!という感じのパンです。
ラズベリー、イチゴ、クランベリー、3種類のベリーがたっぷり練り込まれています。
〇クロマメ
…またない。写真。大好きなクロマメだというのに私としたことが。
でも、このパンはお店で見れば、誰でもすぐにクロマメと分かります。
まさに名前のとおり黒豆たっぷりです。
カボチャや栗粉、はちみつなどを練りこんだ生地に黒豆の甘煮が入ったもの。
生地はほくほくもちっとしていてまるで和菓子です。
始めて食べた友達も、これってパンなの?と驚いていました。
⑦週替わりフォカッチャ 432円(税込み)
シニフィアンシニフィエといえば、北海道の「キタノカオリ」を100%使用した、
もちっとしたチャバタですが、プレーンの他に週替わりで具材入りのものもあります。
今週は、マカダミアナッツ&スモークチーズです。
チーズはかたまりではなく、生地に練りこまれているくらいで控えめです。
志賀さんの作るチャバタは生地がクリーム色というか黄色っぽくお餅のようでおいしいです。
志賀さんについては、パン好きの方ならお名前は聞いたことがあるかもしれませんが、
1年365日毎日厨房の立たれているということ。パンへの想いがすごいです。
こんなに成功されていてなお、こんなに頑張れるなんて。
これからも発酵を極めるために、いろんな酵母を育てて、パン造りで未知の領域を切り拓いて
行きたいとのこと。
志賀さんの想いが詰まったこの1冊。勉強になったのでご紹介です。
志賀さんのパン作りの中の、「生地に大量の水を加えること」、
「酵母をごく微量しか入れないこと」、「一次発酵は低温で長時間とること」、
という3つの大きな特徴がよく分かると思います。
ごちそうさまでした。
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